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※■はおうへん(王)につき(月)
伝統文化を愛する心と、新しいお茶文化の息吹、ふたつの流れが合流する地点。店長・洪さんの個性が織り成す独特の空間へ、日常生活からちょっとだけワープしてみませんか?お茶を飲みながら、洪さんにお茶のお話いろいろ聞かせてもらいました。
MRT公館駅を出て、台湾大学に面した学生通りから一歩奥に入ると、静かな小道に洒落たカフェが点々と並んでいます。東京で言えば、なんとなく青山の裏通りに似たような雰囲気でしょうか。その一角に、大きな柳の木に囲まれた中国風の建物が現れます。建物は古民家のようなたたずまいですが、外に張り出した大きなショーウィンドーには茶器やライトなどがディスプレイされ、アンティークショップのようにも見えます。中は一体どうなっているのでしょうか?

入ってみてびっくり。外から見たときの枯れた雰囲気からは想像のつかないアナザーワールドがそこには広がっていました。外の喧騒からかけ離れた薄暗い店内、店員さんに案内されたお座敷の席は、チベット?ネパール?はたまたインド?…どこか東洋の寺院に迷い込んだかのよう。仏像や仏画、書、アンティーク調の調度品、アジア各地からコレクションされた色とりどりの茶器などが間接照明に照らされてぼうっと浮かび上がり、一種独特の宇宙的な空気が漂っています。猫空の山の上の茶芸館たちが自然と一体になる開放された場所だとしたら、こちらは外界から遮断された、自分と語り合う場所なのかもしれません。

メニューには、茶芸館に来ればやっぱりトライしたい「工夫茶」のほか、さまざまな花茶もあります。また自家製の「私醸花蜜茶」はおすすめとのこと。ジャスミンの花をお店で3年間はちみつに漬け込んで作るという、体にとてもよいお茶なんだそうです。このほか、学生の街を意識して開発したという、泡立つミルクティー「茶ラテ」、「茶カプチーノ」などの「創意茶」(オリジナルドリンク)は若者に人気です。

伝統的なものから新しいものまでさまざまな切り口でお茶の魅力を提案する■飲軒ですが、オーナーの洪さんがもっとも大切にしたいと考えているのが「工夫茶」。■飲軒のメニューには「功夫茶(芸術茶)」と表記されていますが、そこには「ただ与えられたものを飲むのではなく自分で創り出すこと、また、作法を通して感覚を研ぎ澄ますことにより、真の精神の安らぎを得ることができます」と話す洪さんの、お茶に対する情熱が込められています。今では「老人茶」とも言われ、若い世代には忘れられつつある台湾工夫茶の文化を次代に残していきたいとの考えから、工夫茶初心者には店員さんがお手本を見せながら淹れ方を丁寧に教えてくれます。テーブルの横には火鉢が置かれ、熱々のお湯がたっぷり用意されています。「夜中の2時までやっていますから、いつまででもゆっくりして行ってくださいね」と店員さん。まだ夕方なんですけど…。
工夫茶で試せる茶葉はすべて高山茶です。高山茶は、海抜1,100メートルより高いところで栽培される高級茶。■飲軒ではその中でも春と冬に収穫されたものだけを飲むお茶として提供します。夏や秋のお茶は高山茶であっても料理やお菓子にだけ使います。寒さを耐えて育った茶葉はその表面に保護膜のようなものをしっかり張るので、肉厚で香り高いお茶になるのだそうですよ。これは美味しいお茶を見分けるための秘訣にもなります。「お茶を抽出したあとの茶葉を開いてみて、表面がプラスチックのようにすべすべしていれば、寒いところで育ったお茶だと分かりますよ」と、洪さんが教えてくれました。


わたしたちがいただいたお茶は「梨山高山烏龍茶」。すがすがしく優しいお花のような香りがします。一般的にはバニラのような甘い香りが特徴といわれています。茶葉はぎゅっと力強く丸まっていて、抽出後はもちろんすべすべでした。あんなに小さく丸まっていた茶葉が破れたりせず、抽出後もそのままの美しい形を保っていることに驚きました。
>> 「高山梨山烏龍茶」 700元(左記料金に加え、お湯代で一人100元がかかります)
■飲軒ではほとんどのテーブルが半個室のような状態に区切った中にあるので、とてもプライベートな雰囲気でゆっくりと過ごせます。薄暗い店内にいると時間の感覚が麻痺してきてついつい長居をしてしまいそう…。そんな寛ぎの場に欠かせないのがお茶請けですね。今回は「お茶のビスケット」と、「叉焼酥(チャーシャオスー)」をいただきました。「お茶のビスケット」はその名のとおり、お茶の葉(もちろん高山茶)が入ったビスケット。ほんのり甘いバターの香りと、茶葉の香ばしさが素敵なハーモニーを奏でます。「叉焼酥」はチャーシュー入りのパイです。ちょっとおなかにたまるものが食べたいなというときにいいですね。甘めに煮込まれたチャーシューがさわやかなお茶とよく合います。

>> 「お茶のビスケット」
一人前5個入り70元
>> 「叉焼酥」
一人前2個入り70元
後編では、店長・洪さんに教えてもらった、お茶を楽しむアドバイスをご紹介します。うわさのあの変わった鍋も登場しますのでお楽しみに。
DATA
| アクセス | MRT新店線「公館」駅から徒歩10分。台湾大学を右手に見ながら進み、新生南路との交差点で「誠品書店」の方へ渡り右へ進む。教会やマクドナルドを過ぎ、ファミリーマートの手前を左折、次の角を右折して直進。左手にあります。 |
|---|---|
| 営業時間 | 10:00〜翌2:00 |
| 定休日 | 旧正月前後 |
| 住所・電話 | 台北市温州街80号 (02)8369-3963 |
| クレジットカード | 可 |
| 日本語 | 不可(英語なら簡単なやりとりができます) 日本語メニューあり |
2006年11月28日