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せっかく台湾でお茶を飲むなら、台北郊外まで足を伸ばして、台湾茶の発祥の地まで行ってみませんか?鳥の声や木々のざわめきを聞きながら、時とともに表情を変える空の下でゆっくりとお茶をいただく。心と体が大自然と一体になっていくような、豊かな時間をぜひ味わってみてください。

邀月茶坊は台北郊外の木柵(ムーツァー)区にあります。木柵区は台湾で最初にできた観光茶園地区で、台湾鉄観音茶の唯一の産地です。山の斜面に青々とした茶畑が広がる景色はとても美しく、あたりは大自然の静寂に包まれています。地区一帯の茶農家は茶葉の直販のほかに茶芸館の経営もしていて、茶畑の中をくねくねと伸びる山道の両側に何十軒もの茶芸館が並んでいます。このあたりは地元で「猫空(マオコン)」と呼ばれ(猫の爪で引っかいたような地形のある渓谷があることから)、美しい景色と茶芸館を楽しみに、台北市内をはじめあちこちの地域からたくさんの人が訪れる人気スポットとなっています。山の上からは台北市内が一望でき、日が沈めばすばらしい夜景を見ることができます。夕方からやって来て星空と夜景を楽しみながら、家族や友達、恋人とゆっくりお茶を飲み語らうのが猫空流。なんと素敵な習慣なのでしょうか!
何十軒もある猫空の茶芸館の中でも「邀月茶坊」は特に人気のお店です。眺めのよさやカラオケOKなど、にぎやかな雰囲気を楽しめる茶芸館も多いですが、「邀月茶坊」の人気の理由は自然の懐に入っていくような独特の立地、また、静かで落ち着いた雰囲気にあるのではないでしょうか。店員さんも温かく、女性がひとりで訪れてもリラックスできる開放感があります。猫空では比較的早くできたお店で17年前から続いていますが、木の素材を生かして作られた建物やテラスには清潔感があります。

霊界への入り口かと思うような不思議な門をくぐるとお店までしばらく小道が続きます。両側を深い緑に包まれた下り坂の先が一体どんなところに続いているのか・・・まるで異次元の世界へ引き込まれていくようです。そして現れたのは薄暗い光の漏れる小さな庵でした。
店内入ってすぐのカウンターで、お茶やお茶菓子、食事を注文します。なんと日本語のメニューもありました。お茶はすべてオリジナルのパッケージに入っていて、カウンターの後ろには色とりどりの茶缶が並んでいます。また、気軽なお茶請けとして、ナッツ類やドライフルーツ、スナック菓子なども別の棚にびっしりと揃えてあります。オリジナルパッケージに入っているものもあり、値段もお手ごろなので、気軽なお土産におすすめです。ちょっとふんぱつしたい場合には、箱入りの茶葉セットや茶器も充実しています。

注文が済むと好きな席に座りますが、意外と広い店内、テラス席まであってどこに座ろうか本当に迷ってしまいます。外からは驚くほどちっぽけな茶屋に見えますが、それは見せかけ。山の斜面を利用して、斜面の下のほうへと敷地が続いているのです。夜や週末には満員になってしまうお店ですが平日の昼間なら迷いに迷って一番お気に入りの席を見つけてくださいね。


お茶は自分で入れるシステムになっています。茶器セットを受け取り、給湯所でやかんにお湯を入れます。それぞれのテーブルには電気湯沸かし器が置いてあるので、お湯が沸騰したら工夫茶を楽しみます。今回は、お店一番のおすすめという「正叢鉄観音」を注文しました。「正叢※」には「正統」という意味があります。日本でも烏龍茶のCMなどで「鉄観音」という言葉を耳にしますが、それは「鉄観音製法」という製茶の方法で「鉄観音風」に仕上げてあることを指し、使われる茶葉はさまざまです。今回いただいた「正叢鉄観音」は、「鉄観音製法」で製茶されている上、使われている茶葉も木柵地区でのみ栽培される「鉄観音種」である、本物の鉄観音。大変貴重なお茶だそうです。

名前のとおり「鉄のような」赤みを帯びて透き通った美しい色のお茶は、色も、香りも、味も日本で飲む烏龍茶とはまったく違う飲み物でした。なんというまろやかさでなのでしょうか!まず、聞香杯(ウンシャンペイ)で香りをかいでみたわたしは、そこに海を見ました。すがすがしく、甘く優しい潮の香りで胸がいっぱいになり、思わず目を閉じ、深呼吸したのでした。体の中を風が通り抜けるような感覚、日常の悩みや苦しみが溶けて消え去っていくようです。香りをかぐたび、お茶を飲むたび、向かいに座るスタッフ(おんな同士ですが)と悦に入った表情で微笑みを交わしながら長い時間を過ごしたのでした(気持ち悪いですねー)。専門的には、「観音韻(かんのんいん)」と呼ばれる、完熟したフルーツのように甘く芳醇な香り、喉を潤すさわやかで心地よいほのかな酸味が「正叢鉄観音」の特徴と言われています。
※「叢」の字には正式には「きへん」が付きます。

「正叢鉄観音」の茶葉は缶入り40gで300元。これに加え、茶水費がかかります。茶水費は時間帯によって異なり、一人あたり60元(9:00〜18:00)、80元(18:00〜24:00)、120元(24:00〜9:00)です。
点心や各種料理が用意されており、ご飯やスープがついたセットメニューもあります。料理は11:00〜翌2:00、点心は24時間注文できます。

茶梅香排骨のセット 330元 (お茶付きのセットは380元)
小籠包 90元
DATA
| アクセス | MRT木柵線「萬芳社區駅」よりバス「小10(S10)」に乗り、20分ほどで「猫空」のバス停に到着。「猫空」のバス停から山道を少し奥へ歩くと左手に「邀月茶坊」の門が現れます。 駅からのバスは6:00〜22:30のあいだ約30分ごとに運行しています。 乗換えがスムーズなら台北市内から猫空までは1時間以内。 帰りはお店でタクシーを呼んでもらうか、バスが運行している時間帯であれば山道でバスをつかまえることができます。猫空の山道の途中であればどこでも手を上げてバスを停められます。夜は一方通行になるので、道の左側で待ちましょう。 |
|---|---|
| 注意 | バスは山道を激しく揺れながら登りますので、酔いやすい方はぜひ酔い止め対策を。 |
| 営業時間 | 24時間 |
| 定休日 | 無休 |
| 住所・電話 | 台北市文山区指南路三段40巷6号 02-2939-2025 / 02-2937-8771 |
2006年9月5日